FIREは現実的に可能?メリットや実現までのステップ・注意点を解説

白沪与荐です。いつもご覧いただきありがとうございます。

世代を問わず生き方が多様化するなか、2010年代以降に注目されるようになったライフスタイルに「FIRE」があります。

経済的自立と早期退職を両立させるこのムーブメントは、サラリーマンが多く、長らく退職まで勤め続けることが良しとされた日本の社会風習とは真逆をいく概念ともいえます。

しかし、 起業や早期退職を志す人が増えつつある世の中で、とくに出世や年功序列に関心が薄いミレニアム世代やZ世代からすると、決して浮世離れした生き方ではなく、人生の選択肢の一つとして大いにアリという見方もできそうです。

もちろん、それとFIREが現実的に可能かどうかは、別次元の話です。

そこで、FIREのメリットや現実的に可能な生き方なのかという視点で、従来から提唱されてきたFIREまでのステップを検証し、注意点とともにまとめました。

FIREとは

白澤伊幸 FIREへの鍵

FIREとは、「Financial Independence,Retire Early」を略した造語で、経済的自立と早期退職を抱き合わせたライフプランを意味します。

従来の早期退職といえば、退職金と貯蓄、年金収入によって老後の生活設計を描くのが、一般的でした。

一方FIREは、一定の資金を貯蓄したら退職し、貯蓄を投資によって運用して、運用益を生活資金に充てる方法です。つまり、貯蓄や年金を目減りさせないことを前提とするのが大きな特徴です。

具体的にはどうすれば実現できるのでしょうか。

スタンダードな4%ルールで考えてみる

FIREが提唱された米国では、「4%ルール」がスタンダードな考え方となっています。

運用益を4%と想定し、運用資産の4%の範囲で一年間生活すれば、基本的に貯蓄を切り崩す必要がないと考えるのです。

2021年から過去10年間の国内における2人以上世帯の平均月間支出額は、27~29万円の間でほぼ一様に推移しています。

分かりやすくするために、仮にこれを「30万円」とし、年間支出額を「360万円」と仮定します。

4%の運用益が360万円となるためには、「7,500万円」の資産を形成する必要があります。
もし、給与収入以外に収入源がないとすれば、この7,500万円は、給与からの積み立てと退職金が主な原資となるでしょう。

4%ルールの問題点

この時点で多くの読者の皆さんは、7,500万円貯まるまでに退職日が来そうと考えたのではないでしょうか。

さらに

  • 投資で4%の利益を数十年間も維持し続けるのは、現実的ではない
  • 7,500万円をすべて投資に回したら、手元の現金がなくなる

という点も気になったかもしれませんね。すべてもっともな意見です。

4%が難しければ3%、2%…というように運用利回りを下げる考えを思いつきます。

しかし、年間支出額は225万円、150万円と減額せざるを得ません。あるいは、年間支出額を「360万円」でキープするなら、投資に回せる貯蓄額を1億2,000万円、1億8,000万円といった具合に増額することになります。

どれをとっても痛し痒しで、いささか現実味に欠けるというのが、正直な感想ではないでしょうか。

FIREのメリット

ここで仮にFIREに成功したとして、そのメリットについて考えていきましょう。

仕事中心の生活から解放される

まず真っ先にいえることは、仕事中心の生活やストレスから完全に開放されるということです。

仕事のノルマもなければ、上司の顔色をうかがう必要もありません。
したくもない仕事に莫大な時間をとられることも一切なくなります。

時間や場所にしばられない

いつ起きて何時に寝ようが、どこで何をしようが、すべて自由です。
思い切って好きな場所に移住して、がらりと生活スタイルを転換させることも可能でしょう。

新たなことに挑戦できる

働いていたときには、無理やり時間を捻出しながらも中途半端にしか楽しめなかった趣味にも思い切り没頭できるでしょう。
そして、まったく新しいことに一から挑戦するのもよいかもしれません。

従来のFIRE実現までのステップ

白澤伊幸 FIREへのステップ

次に、実現することを前提として従来より語られてきたFIREまでのステップについて、詳しく見ていきましょう。

全部で5ステップありますが、1番目からかなり高い壁が立ちはだかります。

ここで答えが見出せなければ、2番目以降に進むのは難しいでしょう。

【ステップ1】貯蓄額と運用利回りを決める

ここで再度登場するのが、先ほどもお伝えした貯蓄額と運用利率の話です。

パンデミックとロシアによるウクライナ侵攻、米国の利上げというトリプルパンチにより、2022年現在、日米為替は数十年ぶりの変動幅をマークしました。

世界中を狂乱ともいえる物価高が襲い、経済の先行きは極めて不透明です。

この状況にあって、「4%ルール」を真に受けて良いのか、という問題があります。

早期退職年齢にもよりますが、FIREを実現すると、長ければ30年以上は余生が続くでしょう。

人生100年時代と考えると50年も決して夢物語ではありません。この十数年を振り返っただけでも、リーマンショック、東日本大震災、新型コロナウィルス流行と、想定越えの事態が次々と襲い掛かってきました。

加えて一向に上昇しない国内の給与水準を考えると、数十年も先を見越して間違いのないマネープランを作成することは、容易ではありません。

起業による創業者利益や莫大な不動産収入、あるいは宝くじに当選でもして多額の資金を手にしなければ、FIREなど単なる絵空事というのが、極めて現実的な見方ではないでしょうか。

「サイドFIRE」という手もある

しかし、100%不可能といってしまうと元も子もありません。

そこで、FIREを現実に近づける考え方として「サイドFIRE」があります。これは、副収入を得ながら運用益との抱き合わせで生活費を確保する方法です。

仮にサイドビジネスで月10万円の収入が得られるとしましょう。
年間で120万円ですから、先程の年間支出額360万円から差し引くと、「240万円」を運用益で稼げばよい計算になります。

仮に4%ルールを当てはめると、貯蓄額は「6,000万円」となります。

極端ですが、月30万円の支出を20万円に抑えて年間で「240万円」の支出とすれば、ここから副収入の120万円をマイナスし、運用益は「120万円」で済みます。

ここに4%ルールを当てはめると、貯蓄額は「3,000万円」。
こうなると、少し現実味が増すかもしれません。

さらに言うと、サイドビジネスでの収入について、労働収入である必要はありません。権利所得ベースであれば、それだけでFIREと同じようなことが現実的に起こります。

動労収入と権利所得の違いをきっちり理解し、正しい手順で行っていけば、FIREまでの道のりは一気に近づくかもしれません。

【ステップ2】生活スタイルを変える

次は、何年で上記の3,000万円なり、6,000万円、あるいは7,500万円を貯めるかです。

これは現在とこれからの給与額、そしてどこまで生活費を切り詰めて生活できるかによります。

仮に上記の例で、3,000万円を月20万円の積み立てで貯めるとすれば、12年6ヶ月かかります。これを早いととるか、遅いと感じるかは個人差があるでしょう。

ただ、退職が早ければ、その分長期にわたって一定以上の運用益や副収入を確保し続ける必要が出てきます。

【ステップ3】資産運用の方法を決める

貯蓄した資産をどのように運用するのか。
そして4%の運用益をいかに確保するか、という点も非常に重要です。

株式や債券、投資信託、暗号資産など、選択肢は数限りなくありますが、安全策かつリスクを低減させる場合は、分散投資が基本となるでしょう。

【ステップ4】FIRE後のライフスタイルの決定と具体的行動

FIRE達成まで決して簡単な道のりではありませんが、本番はむしろその後にやってきます。

どこで、何をしてどれくらいの消費レベルで生活を送るのかというプランを立てます。

例えば地方に移住するなら、土地や住居の確保など、環境とコストの両面から果たして構想通り実現可能かどうかを、退職までに明確にする必要があるでしょう。

FIREの問題点

最後に、FIREについての問題点を4つに分けてお伝えします。

運用利回りが維持できるとは限らない

繰り返しますが、4%ルールを守りながら資産を運用できる保証はどこにもありません。

長らく続く超低金利を考えると、銀行預金で4%の利回りというのは、天文学的な数値です。

よって、複数の手段で分散投資をする必要がありますが、現状の極めて不安定な世界情勢下で、先の運用実績を見積もるのは至難の技です。もちろん、これから本格的な貯蓄を始めるなら、運用益での生活はずっと先のことでしょう。

しかし、その時点で投資環境がどうなっているかは、誰にもわかりません。

周囲の同意を得ることも大事

FIRE後、1人で悠々自適に生活するのなら話は別ですが、もし家族がいるなら、FIREを目指すことへの理解を求める必要があるでしょう。

ただし、構想通りにことが運ぶ保証はないため、何をどう説明しても説得力に欠けることは覚悟する必要があります。

想定外の出費への対応が必要

FIREの前にしろ後にしろ、住宅ローンや教育費、怪我や病気の治療費など、まとまった出費や想定外の支出がかさむことが、考えられます。

もちろんある程度は、事前に見積もっているはずですが、給与が上がり続けるとは限りませんし、途中で計算が合わなくなる可能性は、十分にあり得るでしょう。

再就職が難しくなる可能性がある

早期退職をし、好きなことだけやる生活をすると、スキルアップの道が絶たれます。

もし途中で方針を変更して再就職したいとなった場合に、思うように働き口が見つからない可能性があるでしょう。

まとめ

FIREは、実際に欧米で実現させている人たちも多く、魅力がたくさんつまった素晴らしい生き方です。

しかし、海外と国内では、給与水準や物価などの経済環境や生活背景が大きく異なります。

100%の理想を無理に追いかけずに、サイドFIREなど、現実に即した考え方でビジョンを描いてみることも大切です。

FIREと同じ状況を作り出すということが結果的には大事なのです。利率だけで生活する前提の貯蓄を確保するのは途方もない話です。
ならば、FIREができる状態とは?というのをきっちり考え、それに近づける行動を行っていくと良いでしょう。

FIREは、単なる一時の思いつきと衝動だけで達成できるものではありません。

自身のおかれている環境はもちろん、世の中の状態をよく見極めながら、最良の選択ができるように工夫と研究を重ねてくださいね。